前置き天国-Intoroduction Heavne- 沙夜子「こんにちは…私は前置き親子の母、ブラックマザー…略してブラマザ…」 朝美「こんにちは!私は前置き親子の娘、ブラックチャイルド。略してブラチャ!」 沙夜子「今日は私達が司会をすることになったんだけど…なぜかしら?」 朝美「桃乃さんが、自分の昔を語るのは恥ずかしいって言って逃げちゃったからだよ、お母さん」 沙夜子「そう…」 朝美「じゃあ諸注意だよ。このお話はデジタルコミック「ヒカリ」の、紫羽さんって人が出てるから、 「ヒカリ」を見たこと無い人にはあまり楽しめないと思の」 沙夜子「そうね…」 朝美「なので先に、「ヒカリ」を見たことの無い人のために、 過去のまほらばスレにあった「ヒカリ」を微妙に書き加えて載せておくね♪」 沙夜子「そうなの…?」 朝美「既に「ヒカリ」を見たことのある人は飛ばしてもかまわないよ」 朝美「まずは「ヒカリ」だよ♪」 中3の主人公、紫羽は、戦前から建っていて、あと一月で取り壊される旧校舎に興味を持ち、 放課後、紫羽は立ち入り禁止の札を破って旧校舎の中に入っていき、古ぼけた教室を見つけ入ってみた。 「木造だとこんなにも雰囲気が違うもんなんだ…。」 と思っていると、後ろから物音がして、ここにはアレが出るという噂を思い出す。 「だ、誰かいるのか?」と、後ろを振り返るとタバコを吸っているピンクの髪の女を見つけた。 女は自分が幽霊と言って紫羽をからかい、フィルターなしのキツいタバコを吸う。 「これを吸ってるとさ、頭がボーッとしてさ、嫌なことも辛いことも、考えないですむんだよ…。」 どこか寂しげな彼女に紫羽は興味を持っていった…。 その後も旧校舎に通うようになった紫羽は少しずつ女と打ち解けあう。 6月になり、進路を決めなければならない時期になった。 紫羽は女に聞かれ、自分が映画を作る仕事に就きたいと話す。 それにつられてか、女が自分の昔話を始める。 女はピアノが上手く、なんどかコンクールで賞を取った程らしい。 しかし、それだけ上手いと周りからのプレッシャーも大きく、 結局、女はそのプレッシャーに勝てず、手首を切り、自殺をはかった。 それでピアノはやめられたが、親は愛想を尽かし口もきかず、友達も離れていった。 そして、女は居場所を無くし、この旧校舎にいつも居た、ということだった。 雨が降り、けっこう強くなってきたころ、女は紫羽に傘を持っているか聞く。 紫羽は無いと答え、女は自分の傘を貸すと言う。 紫羽はお前はどうする、と聞き、女は今日が最後だからここに泊まると答えた。 そして、紫羽と会えるのも今日が最後だとも言った、 紫羽は、その言葉を聞き、女が死ぬと勘違いでもしたのだろう、必死に問い詰める。 「俺は、またお前に会いたい!!」 「う、嘘だ…。」 「嘘じゃない!!」 「嘘だよ!!こんななにもないあたしに、会いたいなんていうやつがいるもんか!!」 「…お前、馬鹿か?」 「なっ…。」 「なんで俺がこんなところに毎日毎日通ってるとおもうんだ!?」 「そ、それは…。ここの雰囲気がすきだからって前に…。」 「やっぱり馬鹿だ!!」 「…バカバカって〜…。」 「こんなかび臭い所に通う奴がいるかよ!!俺は!!お前に会いに来てたんだ!!」 「…俺じゃ、だめか?」 「え…?」 「俺じゃ、お前の居場所にはなれないのか?」 「………あ…。や、やっぱあたし家帰るわ…。」 「え…?」 「ほ、ほら!傘!!」 「あ、お、おい!!待てよ!!明日も来るよな!?来るよな!?」 「…。」 「俺、待ってるから!!絶対!絶対来いよ!!」 …女はそれには答えず、走り去っていった…。 翌日…。 旧校舎は取り壊されている最中だった…。 「そっか…。今日が取り壊しの日だったっけ…。」 紫羽は立ち入り禁止の文字がぶらさがっている鎖をまたいで、 壊された元旧校舎の資材を踏みながら一番高い所まで歩いた。 「…本当に、幽霊だったのかもな…。」 「コラー!!立ち入り禁止の文字が見えんのかバカモーン!!」 「あっ、す、すいま…。」 「なんて…ね…。」 「あっ!?」 工事の作業員の声だと思ったのは女だった。 「やれやれ…。なんで本当に来てるかなー…。」 「お、お前だって来たじゃないか…。」 「…あたしは確かめに来たんだ。、もし本当にあんたが待ってたら…ちゃんと聞こうと思ってさ…。 あんた、本当にあたしの居場所になってくれるの?」 「そりゃもちろ…。」 「よく考えて答えなよ?簡単に「うん」なんて言ってあとであたしに飽きて捨てたりしたら あたしは、こんどこそ本当に死ぬよ?そして、あんたが死ぬまで呪ってやる。 あたしはこういうイカレたやつなんだ。それでもあんたは…。」 「いいよ。…俺はそんなお前も含めて、お前が好きなんだから。それに、お前は死なないよ。 俺がそんなことさせない。俺でよければ居場所にでもなんにでもしろよ。」 「…………あたし…手首に傷あるよ…?」 「構わない!」 「あたし…ダブってるから年上だよ…?」 「構わない!!」 「あ…あたし…あたし…あたし…あたし…。」 「…もういいだろ。お前が泣くと俺も悲しいからさ。笑ってくれよ…。」 「……桃乃恵…。」 「え?」 「あたしの名前!あなたは?」 「俺の名前は―――」 それは――― 君の心に差し込んだ ―――希望のヒカリ……だったらいいな 沙夜子「次は本編…」 「桃色の太陽」 季節は受験シーズン真っ盛りであった。 高校3年生となった桃乃恵も受験勉強のために図書館へ来ていた。 恵の志望校である鷲田大学に入るためには もうちょっと点をとらないと、心配なのである。 といっても恵が特にこの学校に入りたかったわけではない。 彼氏である紫羽がこの学校を志願していたからだ。 恵と紫羽はクラス内でもバカップルとして有名だったりする。 彼と同じ大学に入り、サークルで映画を作る… というのが今の恵のちょっとした夢だった。 「ふぅ…遅いなぁ、アイツ…」 恵は軽く息をついた。 この図書館で勉強をするという約束なのだが、時間を過ぎても一向に来ない。 先ほどもメールを送ったのだが、「すぐ行く」としか返事をくれなかった。 何かあったんだろうか。それとも来る途中で何か起こったんだろうか。 急に不安な気持ちが襲ってくる。 そんなときだった。 「恵〜、悪い!遅れた」 紫羽が息を荒くしてかけてくる。 「もう、遅いわよ〜。心配したんだから」 恵は少しだけ不満げに、しかし安心したように言った。 「さて、勉強しよっか?」 「ああ。そうだな」 二人は椅子に座り、学習に入った。 しばらくして恵が唸りだす。どうやら分からない問題が出たようだ。 「うー?ウー…?んー…ね、ちょっと。ここわかんないんだけどさ…」 恵がノートを差し出して尋ねる。が、紫羽は気づかない。というかボーっとしていた。 「?ちょっと!ねぇ、聞いてる!?」 恵は少し大きな声で呼んだ。 「……………」 紫羽は恵を見つめてボーっとしたままだ。 恵は怪訝そうに紫羽を見た。 (む〜……?どうしちゃったんだろう、明らかに変だわよ……よし!) 次の瞬間、紫羽に脳天チョップが放たれる。 「おぐはっ!?」 恵のチョップは見事にあたり、紫羽は頭を抱えた。結構本気で叩いたようだ。 「〜〜〜っ!なんだよ、言葉でいってくれよ!?」 紫羽が頭をさすりながら言った。 「もー!ここがわかんないって言ってたのよ?聞いてなかったじゃない。  あんたはあたしよりも成績いいからいいでしょうけど、私は結構危ないんだからね?」 「あ、ああ。悪い…」 つかみ所の無い返事が帰ってくる。 恵はやはり何か変だなと思ったが、 とりあえず今は勉強に集中することにした。 「どうしよう…」 恵は迷っていた。 いや、本来なら迷うことなど無いはずだった。 だが、最近思う。自分が彼を駄目にしているんじゃないかと。 高校に入ったばかりの時、何処から知ったのか、恵が自殺未遂だと言う噂が一部に広がった。 そのときは自分だけでなく、彼も悪意を持たれる対象とされていた。 しかし、今はもうそんなことは無く、友達だってたくさんいる。 中学時代は夢にも思わなかっただろう。彼が一緒でなかったら今の自分はいない。 自分にとっては全てが良い方向へと進んでいった。 しかし、彼は? 自分がいなければ、嫌な思いはしなかっただろうに。 自分がいなければ、今もっと勉強に集中できるだろうに。 ほかの事に関しても、彼は自分のことを優先してくれる。 それを感じながらも自分は彼に頼っている。 これは、頼っているんじゃない。ただ、彼の優しさに甘えているだけだ――― そんな自分が一緒に行っても足手まといになるだけだ。 いや、むしろ自分と付き合ってること自体が足手まといに思えてくる。 忘れたはずの手首の傷の痛みが蘇る。まるで、自分がいてはいけない存在だと言うように―― 「結局、今日はアイツ来なかったな」 恵や紫羽の友人である巧が言った。 「ああ…そうだな…」 紫羽がぼんやりと答える。 この日、学校に恵の姿は無かった。ムードメーカーである恵がいないと、 クラス全体のテンションも低めである。 「紫羽君はメグちゃんから何か聞いてないの?」 巧の恋人である綾乃が尋ねた。しかし紫羽はやっぱりぼんやりと、何も聞いてないと言う。 恵がいないことで一番暗くなっているのは紫羽だった。 今まで、自分に話さずに学校を休むことなんて無かったからショックも大きい。 「俺達はもう帰るけど、帰らないか?」 巧がバッグを肩に提げ立ち上がる。 「…いや、もう少し落ち込んでる」 机に突っ伏すようにだれる。それを見る巧は呆れ顔。 「ま、お前がそうしたいんならいいけどさ。早く帰れよ」 「それじゃあね、紫羽君」 そう言って彼らは帰った。 誰もいない教室。昔のあの教室を思い出す。恵が居場所にしていたあの教室。 誰もいない場所で彼女は何を思っていただろう。 いや、何も思わないようにしていたんだろう。 でも―― ――きっと、寂しくて悲しかったと思う。だから俺は、そんな思いはもうさせたくなかったから… 暗い。 ここは何処だろう。 今は何時だろう。 まだ覚醒しきってない意識の中で紫羽が思ったことがそれだ。 そしてすぐに思い出した。 ここが学校だということに。 「っ!寝ちまった!!」 声と同時にがばっと起き上がる。 「ひゃあぁぁぁ!!?」 甲高い声がした。誰かの悲鳴。 紫羽は声のほうを向いた。 誰かがそこにぺたんと座り込んでいる。たぶん女だ。 「悪い、脅かすつもりは――」 そこまで言って気が付いた。 そこにいたのは桃乃恵だった。 「……………」 お互いに目が合う。 恵も急に現れた影の正体が紫羽だと分かると安堵の表情を浮かべた。 が、次の瞬間その表情は疑問へと変わった。 「あんた、何でここにいるの?…ってゆうーか脅かさないでよ!!!すごく怖かったんだからぁ…」 怒り、怯え。まるで信号機のように表情を変える。 そして…悲しみ。 「…今はあんたとは会いたくなかったのに…」 恵は視線をそらした。 「…俺は会いたかったぞ。今日は連絡もくれずに学校休んだから、心配だったんだからな」 「……ばか」 恵は恥ずかしそうにそっぽを向いた。 だがすぐに重い沈黙がやってきた。 先に沈黙を破ったのは紫羽だった。 「お前は、どうしてここにきたんだ?」 「…資料取りに来たのよ。…勉強するための」 変わらず目線は合わせない。 「あんたは?」 「…俺はお前のことを考えてた。考えたたらいつのまにか寝てたよ」 乾いた笑いで話し掛けるも、恵は紫羽のほうを向こうとしなかった。 「…やっぱり、俺さ…外国に行くの――」 言いかけた瞬間、恵が割って入った。 「あたしっ!!……日本に残るわ」 「なっ…!」 予想しなかった答えに戸惑う。 「何でだよ!?」 「…あたしが一緒に行っても、迷惑かえるだけだから…」 恵はうつむいたまま話した。 「お前が残るんだったら――」 「あんたは行って!!…夢を叶えたくないの?」 「けどっ、何で…!!」 恵はしばらく黙っていたが、紫羽を見つめると口を開いた。 「今のあんたに必要なのは、甘えてばかりの彼女じゃない。  努力すること…そうでしょ?私なんかが、近くにいたらきっと駄目になる。  私といるときっと不幸になるよ…だから…  だから…私達…もう…」 紫羽はため息をついた。 「そんなこと考えていたのか?」 「!あんた私がどんな気持ちで決めたと思ってんの!?」 恵が紫羽の胸倉を掴みかかる。紫羽はかまわずそのままの姿勢で言う。 「わかるよ…だから一人にはさせない。お前は言ったよな。自分を捨てたら死ぬって。  …お前は俺と別れて生きていけるのかよ?」 恵は答えられなかった。 「俺だってお前がいないと生きていけない。それだけお前が大切な存在なんだ」 自分を掴んでいた手を優しく解く。その手は震えていた。とてもか弱く、細い綺麗な手。 「俺はお前を死なせない。不幸にもならないし、させないよ」 恵の頭を優しく撫でる。彼女は泣いていた。 「…優し…すぎるよ」 恵は紫羽の胸に飛び込んだ。そして弾けるように泣いた。 紫羽はそんな彼女をずっと抱きしめていた。 どのくらい経っただろうか。長い時間だったかもしれないし、短かったかもしれない。 恵はやっと泣き止んで言った。 「…やっぱりあたし、行くのやめるわ…」 「そうか…」 紫羽は少し寂しそうに答えた。 「あんたがいいて言っても、その優しさに甘えちゃうだろうし、  迷惑かけることに後悔するのは嫌だから…」 「ああ。お前がそう決めたんなら」 もう一度、恵の頭を優しく撫でる。 「でも…、やっぱり会えないのは辛いから…、して欲しいこと…あるんだ」 恵は顔を赤らめてもじもじと上目遣いに紫羽を見た。 紫羽は一瞬固まってしまった。 「お前、それって…」 「…何固まってんのよ。…こういうことは女の子から言わせちゃ駄目でしょ」 頬を染めて恥ずかしそうに話す。 「そうだな…悪い」 そう言うと、見つめていた恵に軽く唇を重ねた。 「…!」 いきなりだったから驚き肩をびくりと震わせた。 「…ちょ、いきなりは…は、恥ずかしいよ…」 だからしたのだ。こういう表情も意外と気に入っている。 「恥ずかしいけど、嫌じゃないだろ?」 「…うん」 二人は再び口付けをする。今度は深い口付けを。 「くちゅ…ん…んちゅ」 舌と舌を絡ませ、二人の口の間から水音が響く。 お互いを貪りあう。 「ん…ちゅ…ふぁ」 唇を離すと恵は瞳を蕩けさせ紫羽を見上げる。 「…脱がせて」 紫羽は頷くと恵の制服を脱がせた。一枚ずつ楽しむように脱がす。 「は、恥ずかしいから、そんなにゆっくりしないでよぅ…」 下着にも手をかける。白い綺麗な肌、そして豊かな胸があらわになる。 「綺麗だな…それに…でかいな」 「もう…ばか……にゃう!?」 いきなり胸を触られて驚いてしまう。 「もっと弾力があるもんだと思ってたけど、結構柔らかいんだな…胸って」 そう言うと紫羽は恵の後ろに回ると抱くように座った。 「え、え…ちょっと?」 紫羽が、後ろから耳を咥える。びっくりしてしまうが、紫羽は気にせず舌で舐め続ける。 手は手で、両胸を揉み続ける。 「ん…やぁ…」 人差し指で乳首をいじる。どんどん固くなってるのがわかった。 恵の鼓動が早くなり、息も荒くなる。 紫羽は恵の胸を責めたまま、片方の手を下半身へとまわした。 閉じていた脚を拡げさせ、秘部が見える恥ずかしい格好へとさせられる。 紫羽の指が恵の秘部を筋に沿ってなぞる。 既に濡れてヌルヌルになったそこは、すぐにでも紫羽の指を飲み込みそうだった。 「ひゃぁ…ちょ…そこは…まってぇ…」 「だーめ」 茶目っ気たっぷりに言うと、紫羽は恵の中に指を入れる。 「ぁんっ…」 あっけないくらいスムーズに受け入れてしまう。 ちゅくちゅくと卑猥な音を立てて、紫羽の指は恵の中をゆっくりと動いた。 「やっ……ん、んっ…やだっ」 紫羽の指は少しずつペースを上げていく。それにつれて恵の声も大きくなっていく。 もう暗いとはいえ、学校にはまだ幾つか明かりが付いている部屋もある。 見つかるかもしれないというスリルも、興奮を助長させた。 突然、紫羽が恵の後ろからいなくなる。 紫羽にされるがままだった恵はバランスを崩すが、紫羽の腕に支えられた。 ゆっくりと降ろされ仰向けの格好になる。 そして紫羽は、恵のその身に浴びた快感を主張しているかのように突起している乳首を口へ含んだ。 「んにゃぁっ…!」 「猫みたいな声だな」 恵の喘ぎ声にふっと笑う。恵は真っ赤になって紫羽の頭をポコポコと叩いた。 紫羽は気にせずに舌で器用に乳首を舐める。叩いく力も次第に弱弱しくなっていく。 「はぅ…」 さっきまで秘部をいじられていたからか、恵はムズムズと腰を動かす。 「あのさ…あの…」 「ん?どーした?」 わざと気づかないフリ。 (い、言えないっ…!そんなこと言えるかー!!で、でも…でも〜〜〜〜…) 紫羽が片方の乳首をつまみ、もう片方は軽く噛む。その瞬間頭が真っ白になった。 「っ…い、入れて…」 恵は軽くいってしまい、それしか言えなかった。 紫羽はよしよしと頭を撫でる。 「それじゃ…入れるぞ?」 「う…うん」 そそりたった紫羽のものが恵の中へと入っていく。 「んああぁ…!」 恵はビクンと体を震わせる。 「あ、痛かったか?力を抜いて楽にして」 「あぅ…ん…大丈夫」 スーハーと深呼吸する。少しは楽になった気がした。 潤んだ瞳で紫羽を見つめる。 紫羽は恵にキスをした。少し触れるだけの優しいキス。 「動いても…いいよ?」 恥ずかしそうに言う。 その言葉に紫羽はゆっくりと動き始める。 「んぁ…んっ…あっ…あんっ」 恵の一番深いところまで入り、またゆっくりと引き抜かれて行く。 (もっと、して欲しい。そんなゆっくりじゃなくて、もっと…) 恵の思いに答えるようにどんどん速くなっていく。 「ふぁぁぁあ…!!」 びくびくと腰が震え、また軽くいってしまった。 恵は中のものをきゅーっ、と締め付けてしまう。 「はぁうぅ…あたし、もう…」 「ぐ…俺も……出そうだ…」 「お願い……ぎゅっ、ってして…」 「ああ、わかった…っ、うああ!」 二人とも絶頂に達し、恵の中に白濁が吐き出される。 「恵…!」 「あぁぁぁぁ…」 気持ちいい。体が熱い。目が霞む。 彼があたしの名を呼んでいる。 意識が薄れていく―――― キィィィィィン…… 飛行機の飛ぶ音。うるさい。 ………あれ? 私はさっきまでアイツと… 桃乃恵は公園のベンチで目を覚ました。 「………夢?」 …下着が濡れている。冷たくて気持ち悪い。 「そうだよ、アイツは一昨日…」 飛行機で飛び立った。私はできる限りの笑顔で見送った。 もうしばらくは、…少なくとも2年は会えないだろう。 私は学校を卒業した。大学も受かった。でもそれはアイツとの別れを意味した。 「…ぅっ……うっ…」 知らない間に涙が出ていた。もうアイツがここにいないという現実が胸を締め付ける。 そのときだった。 「…お姉さん、大丈夫ですか?」 不意に声をかけられる。私は声の主を見た。 そこには青い制服を身にまとった、中学生くらいの少女が、 心配そうに私を見ていた。 「ぐす…大丈……」 それ以上喋れなかった。 少女は私の頭をきゅっと抱いた。 「大丈夫ですよ…」 優しく微笑むその娘の胸はとても温かかった。 「…かっこ悪い」 私は溜息をついた。アイツがいなくて、泣いて、 自分より年下の見ず知らずの娘に慰められてるなんて。 「…何があったかは、聞きませんよ〜?」 「ありがと…」 彼女は優しく言った。よくできた子だ。ますます自分が不甲斐ない。 ふと、ここに来た目的を思い出した。 「ねぇ…あなた…この辺の子?」 「そうですけど〜?」 「この辺にいい、アパートか何か知らない?住むところ」 しかし、少女は少し考えてから、 「まぁ…知ってますよ〜。というか、私が住んでるところですけど。そこでよければ案内しますよ?」 「…うん。教えてくれるかな」 彼女が教えてくれた場所はビルが立ち並ぶ都会のど真ん中に、 ひっそりとたたずむアパート、というか屋敷だった。 「鳴滝荘…か。こんなところにアパートがあるなんてね…」 「お気に召しませんでしたか〜?」 少女は私の顔を見て言う。 私はふっと笑う。 「ううん、すごく気に入ったわ」 「それはよかったです〜」 彼女は嬉しそうに笑った。 後にこの笑顔がちょっぴり怖くなったりもするのだが、このときの笑顔はとても可愛いかった。 「ここなら、私の大好きな人なら、悲しみも受け入れてくれる…だから…」 「だからあなたにも、ここを好きになってもらいたい…なんて思ったりするですよ〜」 それはこの後、私に対してはほとんど見ることの無い、とても素敵な笑顔だった。 …決めた。 私はこの娘の、この人達の…ヒカリになろう。 明るく照らす太陽のようなヒカリ。 あなたが私にとってそうであったように。 あなたが帰ってくるまで、ここで―――― あとがき地獄-Postscript Hell- とりあえず桃紫羽を書きました。タイトルはかなり適当というか…ダメです。 あとは技量もそうですが、桃が紫羽についていかない理由が弱いかなぁ…と。 一応コンセプトとしては、桃と紫羽がどうやって分かれて、桃と珠がどうやって仲良くなったか… みたい感じにしたかったんですけど…上手くいってるでしょうか? あと長いですね… それなりに…楽しんでもらえたら嬉しいです… ぐふっ