僕が鳴滝壮に来てから三年あまりが過ぎた。 特に取り上げるべき出来事としては 珠実ちゃんが学校を卒業後に撮影技術の向上のために旅に出たり。 桃乃さんの彼氏の方が帰国後2号室に入居したり。 中でも一番の出来事としては梢ちゃんの病状が完全とは往かないまでもほぼ完治したことだ。 僕と恋人の関係になった時から徐々に回復の兆しを見せていたのが 床を共にすることによって急激に回復を遂げた。 あくまでもほぼでは有るけど僕達にとっては言葉には言い尽くせないぐらい大切な思い出となった。 その後紆余曲折を経て僕は管理人室で梢ちゃんと同棲する事となった。 今現在は僕は部屋で先日遊園地に行った時の事を思い出しながらお風呂に入っている梢ちゃんを待っている。 その時の梢ちゃんは…… T 元気いっぱいだった。 U じっとぬいぐるみに見入っていた。 V 仮装パレードに夢中だった。 W マジックショーに興味が有った……かも…… X ずっと笑顔だった。 T 元気いっぱいだった。 「待たせたな」 ドアが開かれパジャマ姿の梢ちゃんが現れる。 「別にそんなに待ったつもりは無いけど……」 「あたしがそう言ってるんだから素直に受け取れ」 二、三分の事だからと思い僕が言うとそれでは納得出来ないのかいきなり僕の首を閉めてくる。 「ちょ、ちょっと……」 「なんだ白鳥?」 (白鳥って呼んでくるってことは今日は早紀ちゃんモードなのかな) 先程梢ちゃんの病気はほぼ完治したとあるがその中で唯一治っていない部分がこれだ。 今の梢ちゃんは以前のように突然早紀ちゃん達に変わったすることもないし記憶も繋がってはいるが 僕と床を共にするさいに他人格の性格が現れる事がある。 それがこの状態だ。 「なっ、なんでもないよ」 「本当にそうなのかっ……!」 「そっ、そうだよ。梢ちゃんがこの間みたく元気いっぱいだからちょっと驚いただけだよ」 締め付けられるたびに僕は梢ちゃんの胸に顔を埋める形になって行くのは嫌では無いけど ずっとこのままでいる訳にも行かないので適当な事でこの場を収めてもらう事にする。 「この間って遊園地でのことだよな?」 「そ、けほっ……そうだよ」 「あの時は悪かったな」 手を僕の首から離して梢ちゃんは謝ってきた。 「何か有ったっけ?」 「ほっ、ほらあたしがお前をジェットコースターに無理やり乗せたことだよ。 それにその後も……」 あの時の梢ちゃんは僕を何度も誘った挙句に倒れてしまい僕が鳴滝壮までおぶって帰ることになった。 「僕たちは恋人同士なんだからそんなこと一々気にしなくても良いんじゃないかな」 「お前はそれでよくてもそれじゃあ、あたしの気が治まらないんだよ」 恋人という言葉に顔を赤く染めながらも梢ちゃんはまくしたてる。 「た、ただでさいお前には世話になりっぱなしなんだからここらで借りを返しておかなきゃな。 という訳だからさっさと横になれ」 「えっ、うわっ……!」 「鈍い奴だな今日は全部あたしがしてやるってことだよ」 梢ちゃんは言葉の勢いのままに布団の上に僕を押し倒すと自らのパジャマのボタンを外し胸元を露わにする。 「あんまりじろじろ見るなよ。あ、あたしだって恥ずかしいんだからな」 「ご、ご免ね」 「ばかっ、いちいち謝るな。あたしとはこ、恋人同士なんだろ…っ……」 二言目よりも早く梢ちゃんは顔を真っ赤にしながらも僕の唇を唇で塞ぐとすぐさま舌を絡めてくる。 動き事態はは積極的ともいえなくも無いけれどどこかで加減しているような気がしなくも無い。 「あっ、えっ……」 先程まで絡んでいた舌が離れたと思って目を開くと今度は性器をズボンの上から撫でられた。 梢ちゃんは驚いている僕をよそにズボンを下着ごとずり下ろし七割近く盛り上がっている 部分に指を絡め始める。 「すぐに気もち良くしてやるからな」 言葉とは裏腹に行為自体はいささか乱暴で拙い物だけど愛しい人が しているというだけで心が満たされていく。 「あっ、えっ……んっ、あっ……くっ……」 「ふーん、ここが気もち良いのか。どれっ……」 繰り返すうちに慣れてきたのか僕が声を上げるたびにその場所に集中的に撫でてくる。 そして指先が先走りの液で汗ばんだ様になってきたころ梢ちゃんは僕の足元に移動すると 満を持して性器を口に含んだ。 「ひもぃいいか?」 正直最初はそういうことよりも驚きの方が勝っていたけど梢ちゃんの口内は非常に温かで 遠慮がちながらも必至で動いている舌からはどれだけ僕を思っているのかが ありありと伝わってくる。 僕はその思いに少しでも答えたくて足元に屈んでいる梢ちゃんの頭を撫でた瞬間に 目線が重なった。 「…………」 「…………気もち良いんだな」 暫くはそのままの状態で沈黙が続いたがそれを破ったのは彼女の方からだった。 いったん口を外してそれだけを呟くとそれからの梢ちゃんはひたすらに僕の性器を がむしゃらに刺激してくる。 「そ、そんなにされたら……も、もう……だから…………」 乱暴とも思える行為に腰の辺りからこみ上げてくる物を堪えながら顔を離すように訴えるが 梢ちゃんは離してくれるどころかますます性器をくわえ込んでいった。 そして終わりは唐突に訪れた。 一瞬だけ気を失ったと思ったら梢ちゃんは僕の出した物が喉にからまったのか 咳き込んでおり、さらには口から溢れ出した分がよだれのように垂れてしまっている。 「こ、これ位だいじょうぶだよ。あたしはおまえにその……満足してもらえて嬉しいんだから そんな顔をするなって」 僅かに罪悪感じていると梢ちゃんは飲み込めなかった分を手で拭いながらとびきりの笑顔を見せてくれた。 「うん……」 なんとか言葉を返す物のの節操の無い事に下半身は愛しい人の表情にすら反応し 再び元気を取り戻しつつあった。 このことへの気まずさから逃げるように俯くと視線は梢ちゃんの顔から胸元に移っていくと ずっと露わになっているままの白い膨らみやその中心にある薄桃色の突起が自然と目に入る。 「…………」 その状況で固まった僕を不信に思ったのか梢ちゃんも視線を下げていった。 「お、おまえ……またっ……」 「ご、ごめん……」 「ば、ばかっ……」 口では責めているようでも表情などはどことなく照れた感じのまま 彼女は再び僕の上に乗り性器に指を伸ばしたところで僕は 梢ちゃんの肌が僅かに赤く染まり明らかに熱を帯びてきている事や たぶん無意識で有ると思うけど先程から内腿同士を擦り合わせていることに気づく。 確かめるためにパジャマのズボンの中心を触るとそこは蒸気のようなもので熱く濡れていた。 「あっ、んっ……な、何しやがるんだ。や、やめろし、白鳥っ……」 「止めてもいいの?」 「で、できればやめないで貰いたいけど……きょ、今日はあたしがあまえにしてやるってんっ…… いっ、言っただろ……あ、んっっっ…………」 刺激を強めながら今までの事も有って少しだけ意地悪に尋ねると行為に耐えるようにして 涙目になる。 「僕はさっきので十分だから今度は梢ちゃんが気もち良くなる番だよ」 「……あっ……」 なだめるように笑いかけて見るものの一向に収まってくれないので 僕は上半身を起こし髪の隙間から頬に手を掛けたまま唇に唇を重ねることで言葉を止めた。 「ね、今度は僕が梢ちゃんを気もち良くして上げるから」 「でも……いつも……おまえにしてもらってばかりだから……今日はあたしが……」 なんとか体勢を入れ替えようと動くものの彼女は頑なにそれを拒み 僕の性器に強引に指を絡めてくる。 「だったら…………」 「だったらなんなんだ。はっきり言え、はっきりと」 「その……ごにょ、ごにょ…………」 負けまいとして僕も指を動かそうとしてある事に思い至るがそれを直接口にするのは 僕達の関係が関係とは言え恥ずかしさを覚えるので内緒話をするように耳に元で その内容を口にする。 「…………た、確かにそれは、いい考えというか……なんていうか……でも、それだったら あ、あたしが上になるからな……」 「うん。わかったよ」 頷いてパジャマのズボンを脱がせようとゴムに指を掛けた所で彼女の手が僕の手を止めた。 「いい、自分で脱ぐからあたしが良いと言うまで目を閉じてろよ」 小さく僕に告げるといったん身体を離しズボンに手を掛ける。 「もう、目を開けてもいいぞ」 「えっ……あっ……うわっ……」 指示どうり目を開けてみると第一に梢ちゃんの顔が互いの息が掛かるほどの距離に有って驚き 第二に僕の上半身にぴったりと二つの膨らみが押し付けられていて驚いた。 「これから……るから……動くなよ…………」 「うん……」 彼女はしっかりと僕の身体を掴んだままゆっくりと腰を下ろす と同時に声を漏らす。 「あっっっっっっ…………はぁぁぁぁぁぁっ……」 「梢ちゃん……」 「あたしは、へ、平気だから、お前は楽にしていろっ……くっ、あぁぁぁっ……」 心配そうな顔でもしていたからだろうか梢ちゃんは僕の額を突付くとそのまま 僕の方に体重をかけ動きやすい体勢を取るともう自分を押さえる事はできないのか 即座に腰が動き始める。 「……あっ……んっ、あぁぁぁ……あっっっ……た、たのむから、う、動くなっ……」 「そ、そんなこといっても、んっ……動いちゃうよ……」 その動きは事態は二人で何度も経験した事だけどこんなかっこでするのは初めてだった のでお互いに感じが掴めなかったためあっさりと終わりはやってきた。 「白鳥っ……も、もう……あっっっ……だ、駄目だ……んっ……あぁぁぁ…………」 「ぼ、僕も……くっ……あっっっ…………」 「なあ……白鳥、今日は……気もち良かったか」 「うん……もちろんだよ」 行為後にお互いに気だるい身体を並べて布団の上に横になっていた。 「本当か」 「本当だよ」 「でも、今日はあんな事をいったのに……あたしが……その……先に……」 ごろんと寝返りを打ち梢ちゃんは僕に背中を向ける。 「それでも僕も十分に気もち良かったし、なにより梢ちゃんが喜んでくれるのが 僕にとって一番幸せな事だよ」 「…………なあ、白鳥……また……」 照れているのか少しだけ間を置いてから言葉が返ってくる。 「またって……なに……もしかして…………」 「ば、ばかっ……変な想像するな。あ、あたしは……ゆ、遊園地にだな……」 「また機会があれば今度はみんなで行きたいね」 「それでも良いが、それじゃあ……デートにならないだろ……」 「そうだね…………」 と話している内にいつしか僕達は眠りについていた。