「んぅ…。」 朝美が目を覚ます。身体を起こし、寝ぼけ眼で辺りを見渡して、ちょっとした違和感。 「あれ?なんで?」 違和感を感じるのも無理はない。そこは白鳥の部屋なのだから。 寝ぼけた頭でよーく考えてみる。何が、どうして、どうなった…。 (えーと、昨日は、桃乃さんがまた宴会をやってたら、梢お姉ちゃんが早紀お姉ちゃんに変わっちゃって…。 そのまま呑んでたらお兄ちゃんが酔いつぶれちゃって、お母さんも早紀お姉ちゃんもつぶれてたから、 私がお兄ちゃんをお部屋に連れて行ったら…、あれ? ええと…、お兄ちゃんのお部屋に着いて、お兄ちゃんが持ちっぱなしだったお酒を置いて、 お兄ちゃんを横にならせたら、急に私も…、!?) 急にハッとして、左右に目をやる。右には白鳥が握って放さなかった酒瓶。 左側には、白鳥の姿があった。どうやらそのまま寝てしまったらしい。 無理もなかろう。灰原が臨時収入を得たらしく、かなり大盤振る舞いをしたせいか、住人はいつにも増してはしゃいでいた。 朝美も例外でなくはしゃいでいたせいか、普段はあまり口にしない酒までも、少し飲んでいたりした。 (まぁ、しょうがないのかな。お姉ちゃんたちは定期試験を終えたばかりだし。 灰原さんは、きっとお話しが一つできあがったんだよね。 だから、あんなに大盤振る舞い出来たんだろうな…。私もお酒に手を出しちゃったし。) 何となく振り返ってみる。頭は重いまま。どうしてか、今までの朝美らしくなく冷静だった。 (あれ?そういえば、まだ暗い?) 少し意識がはっきりしてきたのか、ようやくそれに気が付いた。時計を見ると、まだ3時を指していた。 (何でこんな時間に目が覚めちゃったんだろう…。) 動く気になれない。部屋に戻るのも億劫。ここでもう一眠りしよう、そう思って、再び横になってみる。 (お兄ちゃん…。) 部屋には二人だけ。思えばそんな事、今まであまりなかった。 (お兄ちゃん…。) 左を見てみる。そこには、まだ少し酒の臭いの残った、仰向けで顔だけ横に向いている白鳥の姿。 (お兄ちゃん…。あれ?) 何でだろう。朝美は白鳥の顔から目が離せなくなった。 無性に「肌に触れたい」、という衝動に駆られ、右手で白鳥の頬を触る。左手は白鳥の右手に絡めた。 (何だろう…、何?) 段々と心拍数が上がっていくのが分かる。こんな体験は初めてだと思う。 白鳥と繋がっている左手に、力がこもる。少しずつ自分の身体を寄せていく。ほぼ本能で。 (お兄ちゃん…。) 身体が、密着と言っても良いくらいに近づく。 (…これ以上はダメ。) 朝美は、暴走する本能に自制をかけた。 白鳥と梢が付き合いだしたという話を聞いてから、朝美は何だか浮かない気持ちになっていたのは、自分でも気が付いていた。 周りには気付かれまいと明るく振る舞っていたのは、朝美の性格そのままの行動だった。 …それまでも何度か同じ事を考えた事があった。でも、今回のではっきりと分かった。 (やっぱり私は、お兄ちゃんが…。) 二人が付き合いだす前から、二人がそういう関係になろうという事は、気が付いていた。 でも、それでも何だか、身体の芯がもやもやする感じがあった。 二人がそういう関係になって、喜んでいる自分が居た。 でも、その奥底に、それを悲しむ真の自分が居た。 (…もう少し、良いよね。今だけ、良いよね?今じゃないと、無理だよね?) 身体が熱くなる。押さえきれない。気が付いたら、両手を白鳥の身体に回し、顔を白鳥の胸に埋めていた。 (お兄ちゃんのにおい…。ちょっとお酒臭いけど。) 酒臭くても、白鳥の臭いに代わりはない。やさしく力を込めて、白鳥に抱きつく。 身体の芯から熱くなっている朝美。少し身体を離す。 下腹部にむずむずとした感触がある。 (もう、お兄ちゃんは、梢お姉ちゃんと、そういう事…) 一応朝美も、思春期の女の子である。そこら辺の知識は、不完全ながら蓄えてはいた。 (ダメだよ…。起きちゃうよ…。) 止まらなかった。さっきまで白鳥を捕まえていた手が、少しずつ下腹部に伸びる。 白い下着の上から、そこを少し押してみる。 「んっ…」 今まで数回、自分で慰めた事はあった。でも、それのどれよりも快感が強かった。 人差し指で筋の下の部分をさする。それだけでも結構な快感がある。 「んぅ…、んく…」 目の前には好きな人。でも、その人にはもう、恐らく将来ずっと一緒であろう人が居る。 もどかしくて、押さえきれなくて、でも、それをどこにぶつけた物かと困ってしまい、 結局その行為に没入する自分を、押さえる事が出来ない。 不意に指が筋の袂にある、ちょっとふくれた部分に触れる。 「はぅ!」 身体がピクリと動く。空いた左手が、無意識に白鳥の服の袖を掴む。 「お兄ちゃん…」 もう押さえきれない。本能のまま、白鳥の手を自分の股間に持って行く。 下着の上から白鳥の手を、自分のそこに押し当てる。 「ひゃぁん…、お兄ちゃん。」 信じられない快感に、思わず声を上げる。 起こしてはまずいと、自分の左手を口に持って行き、くわえた、 「ふー、ふー、んぅ…、ふぁ…」 白鳥の手で、自分の秘部を刺激する。 「お兄ちゃん、もうダメ…」 くわえた左手を一旦空け、白鳥の手を下着の中へ。 入れたときに、少し膨らんだ部分に指が当たる。 「はぁう!」 電流のように刺激が流れる。強すぎる刺激に、びくびくと身体が震える。 そうして、白鳥の手で、直接自分に刺激を与えはじめる。 「うあ…、んぁ…、はぅう…」 「もっと…、もっと…」 秘部の芽は強すぎるけど、その下の部分の刺激では足らないらしく、胸に空いた手を入れ、刺激を与えだす。 まだ何もない状態の胸。でも、膨らんだつぼみに加わる刺激は、ほどよい物だった。 「ふあぁん、あぁん」 少しずつ手の動きが強くなる。気分が高ぶって行く。 「はぁん、んあぁん」 今まで感じた事のない、妙な感覚が身体を包む。 「あぁぁ、何?な、んぅ…に?」 ゾクゾクと背筋を、妙な快感が走る。 そして、少し白鳥の手が浮き、股間の筋の袂にある芽に触れた。 「きゃうん!あ、ダメ!もうダメ!」 耐えられなかった。その慣れない感覚は、朝美に戸惑いと恐怖感を与えていた。 放心して、しばらくぼんやりする。あのまま刺激を与え続けたら、自分の中の何かが壊れてしまいそうだった。 怖くてそんな事を続ける事は、出来なかった。 「や!」 意識が戻り、朝美は、下着に入りっぱなしの白鳥の手を、慌てて抜き取った。 そのとき、再び筋の袂の芽に、指が触れた。 「きゃう!」 抜き取った瞬間、何か余計に心が締め付けられる気がした。 「…ゴメンね。でも、我慢出来なかったんだ…。」 後ろめたい気持ちで一杯になった。なんて事をしちゃったんだろう。そう思うと、何だか自分の節操の無さに、悲しくなった。 「お兄ちゃん…。」 白鳥の頬をなでる。もうこんな事はあり得ないんだと思うと、そうせずには居られなかった。 手を放す。やっぱり虚しさと寂しさ、それに罪悪感は拭えなかった。涙がはらはらと流れていく。 起きあがって、顔を右にやる。中身の残った酒瓶。 (もう、どうなっても良い。) ちびりちびり、酒をついばむ。泣きながら、少しずつ、酒をついばむ。 (私は、諦めの悪い子だよね…。) 白鳥は、その様子に気が付く事もなかった。 あとがき: sage忘れますた…。スマソ…。orz 初めて書いたので、とりあえずありがちなシチュを目指してみました。玄人様方には物足らないかも…。 一応、全国紙への投稿掲載と、小論文で受験を突破したという経歴があるので、文章はそこそこだとは思うのですが…。 諸先輩方、ダメだしおながいします。 っていうか、こんな朝美、原作じゃ絶対あり得ない…。orz