「ふぁぁ…白鳥さん…」 ベットに仰向けになっている少女が目の前の男の名を呼ぶ。 露になった白い肌も、今は汗でしっとりとしている。 「梢ちゃん、気持ちいいかな?痛くない?」 男が彼女の身を案じるように優しく微笑む。 「んっ…はい…とってもっ…気持ちいいです…はぅ…」 少女の甘い声が返ってくる。 蒼葉梢と白鳥隆士はその日「初めて」を体験した。 二人にとってそれはもう恐怖でも痛みでもなく、 快楽に、愛する人を気持ちよくさせる行為へと変わっていた。 「あっ、ふあぁ…あぁん!」 ペースが上がり、梢の息が荒くなる。 「白鳥さん…私…もう…」 「僕も…そろそろ出そう…うぁっ」 梢の中のモノがビクンと震える。 「あぁっ!…白鳥さぁん!!」 「くっ!…梢ちゃん!!」 梢の中に白濁が流し込まれる。 体をのけぞらし、ビクンビクンと震える。 「はうぅっ、あうぅ…白鳥さん…私…」 快感に流されそうになりながらも何かを伝えようとする。 「私…白鳥さん…のこと…大…好き…で……す…」 そこまで言うと意識が途切れ、穏やかな寝息をたて始めた。 「梢ちゃん…僕も、君のこと大好きだよ…」 「……………」 目が覚めた。茶ノ畑珠実はゆっくりと体を起こす。 時計を見るとまだ11時だ。 「トイレに行くですか…」 部屋から出て、廊下を歩き、トイレに行って用を済ますと、 あることを思いついた。 「梢ちゃんのラブリ〜な寝顔を拝んできましょう〜」 足取り軽く管理人室に近づく。 息を殺して扉に手を触れようとした瞬間―― 「あぁっ!…白鳥さぁん!!」 「―――――!?」 部屋の中から聞こえてきた少女の声。 「くっ!…梢ちゃん!!」 次に聞こえたのは青年の声 。 今この部屋で何が起こっているかなど、手にとるようにわかった。 珠実はその場から逃げるように立ち去った。 「誰もいない…よね?」 梢の部屋から隆士がそっと顔を出し、辺りを確認する。 朝、誰かに見られると困るので、自分の部屋に戻ることにしたのだ。 中庭の廊下の方に誰もいないのを確認すると、 忍び足で自分の部屋へと駆ける。 「白鳥さん」 「―――!?」 後ろから声がした。 振り向くとそこにはパジャマ姿の珠実がいた。 「や、やぁ…珠実ちゃん…」 「こんばんはです。もう11時ですよ。どうしたんですか?」 穏やかな口調で珠実が話す。しかし―― (あれ?なんだかいつもと違う感じが――) そうなのだ。いつもの間延びした喋り方ではない。 今の珠実は本気のときの、本当の姿のときの喋り方だ。 「…梢ちゃんのところにいたんですか?」 「え!?」 知っている。自分達が何をしていたのか、彼女は知っている。 そう思った。 彼女のことだ。きっと凄まじいことをするに違いない。 もしかしたら、今度こそ本当にチョン切られるかも――。 「―――ま、白鳥さんにはどうこうする度胸はありそうにないですけどねぇ〜」 いつもの彼女に戻る。 隆士は苦笑いをしつつ、内心ではほっと胸を撫で下ろした。 「ところで白鳥さん。お願いしたいことがあるので私の部屋に来てくれませんか〜?」 「えっと…何かな?」 「部屋の中で話すので、入っちゃって下さい〜」 珠実に諭されてドアのノブに手をかける。 (あ、そういえば珠実ちゃんの部屋って、何か危ないんじゃ…) 前に恵が部屋に入って悲鳴をあげていたのを思い出す。 が、既にドアを開けてしまった。 そこに広がっていたのは、変なところはあるが、結構普通な?女の子の部屋だった。 どの辺が変かというと、梢の人形があったり、オカルトグッズが置いてあったり―― しかし、想像していたよりも、普通の部屋だった。むしろ可愛いと言える。 「どうかしましたか〜?」 「いや、思ってたよりも可愛い部屋だな、と」 「この前部長が来て、いろいろと持っていっちゃいましたからねぇ〜…  というか、白鳥さん〜。女の子の部屋をあれこれ見ないで下さい〜」 自分が連れてきたんじゃないか―――と、心の中でツッコんでおく。 「ええと、それで僕にお願いしたいことって、何かな?」 隆士が尋ねると、珠実は少し黙ってから、 「さっき、梢ちゃんと…しましたよね?」 「え…」 まただ。唐突に感じが変わり戸惑う。 「したんですね…?」 嘘を許さない瞳が隆士を捕らえる。 「……うん。…した」 隆士はまっすぐにその瞳を見返した。 しばしの沈黙。 「そう…ですか」 うつむいて珠実が言う。 またも沈黙。居心地が悪い。 というか、彼女が今どういう表情をしているか分からないから、 これから起こることの予想がつかない。一言では表せない恐怖を感じる。 怒っているのか、悲しんでいるのか。はたまた、友がしたことを喜んでいるのか。 「それで…梢ちゃんの体はどうでしたか?」 「えっ…!?」 唐突に質問してくる。彼女はうつむいたままだ。 すこし意識を失ったかのように間を空け、意識が戻ると顔を真っ赤にする。 「どうでしたか?無抵抗でしたか?それとも自分から求めてきたりしたんですか?」 「な、何を言って…?」 少しずつ、ゆっくりと珠実は近づいてくる。 「どんな風にキスしてあげたんです?それとも…」 次の瞬間、目の前に珠実の顔が迫った。 (…―――――――!!?) 状況を確認する。 目の前には珠実の顔。そして重なる唇。 「…と、こんな感じに、梢ちゃんからされましたか?」 唇を離し、いつものようにふふっと笑う。 「な、いきなり…何するの…!?」 「何って…キスですよ?」 「な…!?」 少し間を置いてから、 「まぁ、正確にい言うと、間接キスですね」 「…え!?」 「今からすることも、それと同じです。私の自己満足です。そのためのお願いですけど?」 「ちょっと待って!間接キスって、誰と?」 またも溜息をつく。 「梢ちゃんとに決まってるじゃないですか」 「!!!」 「だから、白鳥さんを通じて、梢ちゃんと…するんです」 間接的に性交をする―――つまり間接エッチ。そんなのは性交といえるのだろうか? 「で、でも!僕なんかとしちゃダメだよ!!」 「………しかたないです。強硬手段です」 押し倒され、体を押さえつけられる。 珠実は体の上に乗ると、隆士のズボンに手をかけた。 「なっ!?珠実ちゃん!!?」 「その気にさせてあげるですよ」 そう言って、隆士のモノを取り出す。 「わ、ちょっ…!」 珠実の手に触られてビクンと勃つ。 「これが、梢ちゃんの中に入った…いただくです…」 一瞬躊躇するも恐怖を振り払い、目の前のソレに口付けを落とした。 そして徐々に舌を這わせていき、舐め始める。 「ん、くちゅ・・ちゅぁ・・」 「くっ!」 また、大きく動こうとするも、珠実の手にしっかりと握られてるため動かない。 「あぅ…大きいです…」 先ほどよりも一回りも二回りも大きくそそり立ったモノは、 少女の口に何とか入るくらいだ。 少女は更にソレを頬張り、口内で亀頭を愛撫する。 「どうふぇふ…?きもふぃいいふぇふか?」 「だぁ…!もうだめ…!」 そう言うのと同時に少女の口内に熱い精が溢れるほど流れ込んできた。 「ん…んく……ん…く…」 少し戸惑ったものの口は離さず、咽を鳴らして口に溜まったものを飲み込む。 「…た、珠実ちゃん…なんてことを…」 全てを飲み干して口を離す。 「少しは、する気になりましたか?」 「……………」 唐突に珠実は顔に影を落とし言う。 「白鳥さんはズルイですね…梢ちゃんの唇を独り占めできて…」 「え…?」 震えた声から感じ取れる悲哀、嫉妬、そして憎悪。 その鬱積した気持ちを晴らすために言葉を紡ぐ。 勝てないと分かっていても。自滅すると分かっていても。 「唇も…体も温もりも……愛の言葉だって……そして、心も……全部あなたのものです」 「それは……」 隆士の中に生まれる罪悪感。 誰かの幸せの裏には、誰かの不幸があるものだ。 喜びとは、他人に妬まれるもの。 自分と梢が恋人関係になれば、一番喜ぶのは彼女であり、一番傷つくのもまた、彼女だ。 「分かってるんです…あなたを苦しめてもどうにもならないことも…私はあなたには勝てないということも…でも、私は…」 彼女の心を一番傷つけるもの。それは、隆士が梢と結ばれたことではなく、 それを認めることができない自分への嫌悪。 そして、認められないことに気づいて、梢が自分のことを嫌うこと。 「…私は、こうしないと…壊れます……自分を保てなくなります…」 こうしても同じだ。このことが梢に知れたら、壊れてしまうだろう。 ただ、少しでも、梢と同じ体験を共有することによって、 梢と関わっていると感じたいだけ。 「一度でいいんです……私と…」 「それ以上言わないで」 珠実の言葉を止める。 「君がそれでいいなら…それで少しでも楽になるなら……楽にはならなくたって、今だけは…忘れよう。ね?」 優しい微笑み。梢は、彼女達は、この笑顔が好きになったんだろうか。 今の自分と同じように。 「どうして、もっと早く…あなたに…」 「え…?」 「いえ…なんでもないです……」 やっぱり、憎い。誰にも優しいから、わかっているのに、こんな感情を覚えてしまうから。 (私も…こんな風になれたらな…―――) ある意味で憧れて、そう思う。 「…梢ちゃんと同じように、優しくしてくださいよ?」 「うん…」 そう答えて珠実のパジャマに手をかける。 小振りなピンクの双丘がさらけ出された。 「珠実ちゃんのもかわいいね」 「それは…どうもです」 少し恥ずかしそうに珠実が答える。 隆士は手を胸へと向かわせると、その柔らかさを感じるために軽く撫でた。 「あ…ぅ…」 「珠美ちゃんの胸はすごく柔らかいね」 そう言って今度は揉みだす。 「あっ……あぅ…」 手に力を加える度に小さく喘ぐ。必死に声を殺している。 まるで、快感に流せれそうになるのに耐えるように。 もしかすると―― 「珠実ちゃん感じてるの?」 「そ、そんなこと…!んっ…ぁあ…!」 途中まで否定するも、体は正直に答える。 証拠に、小さな乳首は触れて欲しいと主張するように、ピンと勃っていた。 「これでも感じない?」 隆士は自分の顔を珠実の胸へと近づける。 「はぁっ…!んぅ……ダメです…やだ…あぁっ!」 胸を口に含み、舐め回し、時には軽く噛む。 いつもの彼女からは全く想像できない表情・言葉。 それは、いつもいいようにされている隆士を興奮させるには十分であり、 たまには反撃してみたいという気持ちにさせる。 「ふぁ…あ、あ…んぅ……」 「梢ちゃんはこんなに簡単に感じるほど、淫乱じゃ無かったよ?」 そう言って手の力を強くする。舌使いだって早く細やかになる。 「はうぅぅ…!」 「このくらいしてあげないと、気持ちいいとは言ってくれなかったな」 ぺろぺろと乳首を舐める。そうする度に珠実は身を震わせた。 ふと、隆士の腹の上の方に生暖かい熱気を感じた。 (あ…これって…) 目線をやると、白いショーツがぐっしょりと濡れてシミを作っている。 「珠実ちゃん、こんなに濡らして…気持ちいいんだね」 「そんなことは…無いです!…このくらい全然、ひゃぁっ!?」 反論しようとした矢先、隆士の指が濡れたところを触れる。 「平気だって言いたいの?これで?」 珠実の反応を楽しむように隆士が言う。 「やあぁ…やぁっ…だめ…ですぅ…そこはぁ…」 軽く触れるだけでこの反応だ。もっといじったらどうなるだろう…? 好奇心が、そして、普段逆らえない自分より強い者を、 こうして一方的に攻めることのできる快感が、彼を動かす。 隆士は顔を彼女の股間へ近づけると、下着越しのまま舌を遣わせる。 「ひゃあぁっ!ああぁ…ふあぁぁっ…」 声と同時に水音がし、暖かい液がそこから湧き出る。 「イっちゃったのかい?いつもエッチな事を言っている割には、耐性がないんだね」 言いながら鼻の頭を筋に沿ってなぞる。 実際、激しいことはしていない。むしろ優しいくらいだ。 しかし、彼女の体は少し触れただけで、快感を覚える。濡れていく。 快感に溺れた珠実には、反論する思考も、抵抗する力もほとんど無かった。 初めは梢と同じ体験をできるという期待感をもって望んだが、 今はもう、どうでも良くなってきた。快感が彼女を喰らっていった。 「今度はお尻をやってもいいかな?」 珠実が嫌がらないので、うつぶせの姿勢に変える。 その小さなヒップを優しく撫でる。 「んぅ…」 「小さくて可愛いね。それにとっても柔らかい」 下着の上から質感を楽しんでいた隆士は彼女のショーツを下ろし、顔をうずめた。 「はぁっ…だめですよぉ…そこは…汚いです…ぁぁあっ!」 舌が尻の谷を舐め回す。手は手でムニュムニュと揉む。 「ふあっ…あっ…はぁ…本当にこんなこと…梢ちゃんに…したんですかぁ…?」 やっと尻への愛撫が終わり、仰向けになって珠実が尋ねる。 「ちゃんとしたよ。梢ちゃんもたくさん喘いでたけど…珠実ちゃんの方が気持ちよさそうだね…って、あれ?」 先ほどまではショーツを履いたままだったため、隆士はそれが無いことに気づかなかった。 「珠実ちゃんって…、その…パイパンっていうの…なの?」 そう。あるべきところにあるべき物が無い。 「こうしないと、何か違和感があるんです……変ですか…?」 「いや、可愛いよ。とっても綺麗だよ」 もっと間近でよく見る。ピンク色の筋。そしてちょこんと小さい突起が露出していた。 隆士は再び、珠実の股間に顔を沈めた。 「ふぁぁっ!」 こんどは間にさえぎる物が無い。舌で直接、秘部の中をかき回される。 「はぁぁっ…!あぁん…んんぁ…あ、ああああぁっ!」」 珠実は快感に身を仰け反らせ、2度目の絶頂を迎えた。愛液が溢れ出てくる。 (さすがに、これ以上引き伸ばすと、珠実ちゃんに悪いかな…僕もそろそろしたいし…) 先ほどから、解放状態だった隆士のモノは、梢とやって、今日何度か絶頂を迎えても、なおも元気だ。 玉無しでも、不能でもない。 「珠実ちゃん、入れてもいいかな…?」 「はぁう…どうぞ…です」 「うん。それじゃ…いくよ」 了解を得て、珠実の中へとモノを入れる。 「ぅあああああ!」 「珠実ちゃん!」 「大丈夫…です……ちゃんと入れて…下さい…」 涙を滲ませながらも無理に笑顔を作る。 「…分かった」 再び挿入を開始し、力を込めて押し込む。 ほんの一瞬で隆士の男根は根元まで入り込んだ。 何かが破けるような音が二人にだけは聞こえた。 「うぅぅぅうぅぅぅ…!!!」 「無理しないで…我慢を溜めないで、楽にして…」 そう言うと隆士は珠実を強く抱きしめ、深く口付けをした。 「もう、大丈夫ですよ?」 沈黙を珠実が破る。 「でも…本当に…?」 「もう入っちゃったんですから、最後までしてくれないと嫌です」 だいぶ楽になったからか、少し茶目っ気交じりに珠実が言う。 「うん…動くよ」 「ふあぁっ…んっ…」 腰を動かし始め、珠実の小さな秘部から引き抜く寸前まで引き、一気に押し込む。 珠実はその一回一回にビクビクと体を振り乱す。 「ひゃあぁぁっ!あぁぁうう……ふぁぁん!!」 珠実の蜜が隆士の性器にまみれグチュグチュと卑猥な音を出す。 頭の中から、梢のことが完全に消え、真っ白になる。 「もうだめぇ…白鳥さぁん……」 「もう…イキそう…なのかい?」 激しく腰を振り珠実は絶頂に達しそうにいた。 「お願いです…中で…イカせて…ください……」 「うん…僕も、出そうだからっ…!」 珠実の中がきゅうっと引き締まる。 そして、限界に辿り着いた。 珠実の中に白い液が放たれる。 「ああああああああぁぁあぁぁ……!」 「くあぁぁ…!」 中にドクン、ドクンと放たれる精液。先程まで溜め込んでいた気持ちのように。 隆士はゆっくりと引き抜いて、彼女に口付けをする。 「もう、好きな人意外としたらダメだよ?」 「白鳥さん…有難う…です……」 薄れる意識の中、珠実が言う。そしてそのまま眠りに付いた。 このまま部屋にいたら、朝がマズイので、服を着て、部屋を出ようとドアまで来る。 「お休み…珠実ちゃん」 珠実として、こんな事を願える立場ではないが、それでも――― 願わくば、彼女に春が訪れることを… 数日後。 「誰もいない…よね?」 梢の部屋から隆士がそっと顔を出し、辺りを確認する。 そして自分の部屋へ戻るべく、忍び足で駆ける。 「白鳥さん」 「―――!?」 後ろから声がした。 振り向くとそこにはパジャマ姿の珠実がいた。 「や、やぁ…珠実ちゃん…」 「また、したんですね〜…?」 「そ、それは…」 図星を付かれうろたえる。 「それじゃあ…また、お願いするです…」 少し顔を赤らめて珠実が言う。 「ええ!?もうダメって言ったでしょ!?」 「ぼうっとしてて、よく覚えてないです」 「いやいや!でも、ダメだって!!」 「白鳥さんだってしたいでしょう?…今日は梢ちゃんにどんな風にしたんですか?」 エッチしている時の、可愛い顔で言う。 …珠実ちゃん、態度の使い分け上手すぎだよ… それから当分の間、梢の後に珠実とする習慣が身についたとか… 彼女の本当の春はまだ遠い… あとがき: 微妙です。 珠実と絡ませるには、少しシリアスにならないと 書けないんですけど、中途半端というか・・・ 珠実の性格も微妙ですし・・・ まぁ、満足な出来のものが書けたら大変ですけどね。