ワタシは悪い女になるって決めたの。

大切なモノ何もかもなくしてしまったあの時から、もうワタシは何にもいらない、
人の温かさなんて求めない、優しさなんて期待しないって決めたの。

大丈夫、1人でだって生きていける。

ワタシは闇の王になるの。

1人でも平気。ダイジョウブ。

ダイジョウブ、よ………

「………ッ! くぅ…ん………」

部屋の中は暗闇の世界、闇の王の最も愛する場所。
カーテン越しのおぼろげな月明かりに照らされて、脱ぎ捨てられた白いショーツが
ぼんやりと形を浮かび上がらせている。
闇の王……エストは、壁に背中を擦り付けるようにして洋服越しに自らの胸に
細い指を這わせていた。厚手の布越しでも敏感に反応する突起の感触がわかる。

「ッア……ふぅ……」

左手を、ゆっくりと脚の間に伸ばす。太股をなぞりながら、そろそろと
スカートの中に入れる。遠慮がちにそっと秘所に触れたけれど、指先が
つん、と当たっただけで背中がぴくんと跳ねた。

「はぁ、はぁ……」

お供の魔物、ナガズは今いない。コレは悪いことだから、進んでするのに
間違いはないけれど、でもそれ以上にとても恥ずかしいことだから、
ナガズには見せられない。見られたくない。唯一心を許した大切な存在。

柔らかなスリットに沿って指を前後させる。すぐにクチュクチュ、ヌルヌルと
いやらしい音が出て、ああ濡れているんだ、と実感する。
乳房をいじっていた右手も股の間に滑り込ませる。両手で花弁を摘み、
擦り、指を出し入れする。いやらしく膨らんだクリトリスを刺激する。

「あぁっ……ン……はぁ、あ……」

ワタシ、こんなにいやらしい声を出してる……羞恥心が官能を煽る。
指先の動きが激しくなる。
コレは悪いことだから、こんな事をしている自分は悪い女なの。
まだ、誰1人不幸にすることはできていないけれど……こうしている間だけ、
自分に胸を張れる。
ネ、ちゃんと悪いコトできてるでショ、って。
それに………

「あっ……あぁッ、あはあァんっ!!!!」

薄ぼんやりとした月明かりの中で、エストのシルエットが大きく跳ね上がった。

「あ………はぁ………」

脱力し、背中を壁にくっつけたままでずるずると床に横倒しになる。
本当は、こんな風に気持ちよくなるのは、こんな風に体に触るのは、
自分ではなくて、誰か……自分を愛してくれている人のハズなのだけれど。
そんな相手を求めることは決してしないと自分に誓ったから。
誰かを信じたり、仲良くしたり……そんな悲しいことはもう金輪際しないと。


ダイジョウブ、1人でも平気。

ダイジョウブ、1人でも気持ちよくなれる。

ホントは誰かに気持ちヨクして貰いたい、ナンテ……望んでナイ、よ。