「ふぁん!んん!」
真っ暗の部屋に喘ぎ声が響く
「ジェンド、あんまり大きい声出すとカイが起きちゃうヨ?」
「ぁん、んっ!」
その言葉で、すぐ隣のベッドで寝ているカイを思い出しジェンドは必死で声をかみ殺す。
「それともジェンドはカイに見て欲しいの?」
「バカ、私はお前以外の奴に…見られたいと思ったことは無い」
赤面しながらボソボソと呟くジェンド。
「へへー、ジェンド可愛いー」
十六夜はジェンドの胸の頂点に軽くキスをし、舐め上げる。
「ひぁ!んんっ!」
真夜中、殆どの人間が寝静まる時刻に隣のベッドで横になっているカイが寝た事を
確認して二人は毎晩の行為を始めたのである。
「十六夜…そろそろ…」
「うん、いくよジェンド」
言葉と同時にゆっくりと十六夜のものがジェンドの中に入り込んでくる。
その快感にとろけそうになりながらジェンドは十六夜を逃がさないよう必死で抱きしめる。
「ジェンド凄い…」
「ふぁ!あぁ…っ!」
どちらともなく自然に腰が動きだした。
いままでとは桁違いの快感に叫びそうになるのを何とかこらえようと、
ジェンドは十六夜と繋がったまま無理矢理上半身を持ち上げ深いキスをする。
「んむっ、んん」
ジェンドの甘いキスにしばらくボンヤリしていたが、
十六夜も負けじと空いている手でジェンドの胸をも揉みしだく。
上下から襲ってくる快感に思わずジェンドが唇を離すと、
すかさず十六夜はジェンドの胸を吸い上げ、さらに深く腰を突き入れる。
その直後、いままでとは比較にならないほど強くジェンドの膣内が十六夜を締め付けた。
「ふぁ!ジェンド!そんなにすると、僕もう」
「私も、もうっ…十六夜、一緒に…!」
すがりつくように必死に十六夜の身体を抱きしめながらジェンドも叫ぶ。
既に二人はお互い以外のことは何もかも吹き飛んでいた。
「ジェンドぉ!」
「十六夜…っ!」
十六夜の体が一瞬大きく震え、中に熱いものが流れ込んでくる感覚と共に
ジェンドの意識も真っ白に溶けていく。
真っ暗な部屋に事を終えた恋人達の荒い呼吸の音だけがしばらく響く。
どれだけ経ったのか、何かに気づいたように十六夜が起き上がる。
「ジェンドも僕も汗でベタベター、寝る前に一緒にお風呂入ろ」
「ああ…そうだな」
気だるそうな声で答えながらジェンドも起き上がり、十六夜と共に浴室へ消えていく。

それを確認して、今の今まで寝ていたと思われていたカイはゴソゴソと身を起こした。
「…あの二人は毎日毎日、あれで本気で俺に気づかれてないと思ってるのか?」
一流の剣士であるカイが異常な気配や物音に気づかないわけがなく、
毎晩二人に安眠を妨害されてきたのである。かといって注意するわけにもいかず、
別の部屋に泊まりたくても理由を説明するわけにもいかず、
鬱々と眠れぬ夜をすごしてきたのだ。
まあ、天然の十六夜と一般常識が無いジェンドに
そういう細かい配慮を求めるほうが間違っているのかもしれないが。
「とにかく、これでやっと眠れるかナ…」
と、何かが倒れるような音と十六夜の声が浴室から響いてくる。
「ふに?ジェンド?」
「さっきは主導権取られたからナ、今度は私の番だ」
「ひゃん!ふぁ…」
浴室から響くチュプチュプという湿った音と十六夜の嬌声を聞きながら、
カイは明日から絶対に別の部屋で寝ようと心に誓った。