「ジェンドー」
とたとたと、駆け寄ってきた十六夜がジェンドに抱きついた。
そして唐突にこんなことを言い出した。
「ねージェンド、『胸だけでイっちゃうアレ』してよー」
「ぶぁっ!?な……なに言ってんだ十六夜?どこで覚えてきたんだそんなもん!ってかカイだな!あのボケカスヤロー!」
「えー?カイはこういえばジェンドが喜んでくれるって言ったのにー」
いきなり怒り出したジェンドにうみゅうと涙目になる十六夜。
そんな十六夜を見て、ますます怒り出すジェンド。
「カイ!!出て来い!誰が魔乳だこの色ボケ野郎!」
「だれもそんなこと言ってないよジェンド…」
思わずツッコミたくなり天井裏の隠れ場所から返事を返してしまうカイ。
「そこかぁっ!(岩投げ)」
「がふぅっ」

どさっと天井から落下したカイの襟首をグッと掴んで
「貴様、今日という今日は許さんぞ!」
「えー、一晩中寝かさないなんて、何時に無く積極的だねぇジェンド。」
「誰がいつそんなことを言った!?その寝ぼけた口を使えんようにしてやる!」
「SM好きだよねぇージェンド。ってかジェンドってSよりはM属性だよねー」
「何を言っている!それは貴様の趣味だろうが!好きで縛られてやっているわけでは無いぞ!私は!」
「だってジェンドって被虐心を煽るっていうかー、泣き顔カワイイしー。」
「誰がいつ泣いたぁっ!!」
赤面で怒鳴るジェンド。
「え?ここんとこ毎晩泣いてるじゃん。泣かしてるの俺だけど。」
「うるさい!黙れ!それは貴様がヘタだからだ!このへっぽこ太郎が!」
「うわー、へっぽこってなんか傷つくー。でも結局イイんでしょ?誘って来るのはいつもジェンドのほうだし。」
「誰も誘ってなんかいないだろうが!貴様がいつも勝手に……!」
「んージェンドちゃんったらカワイーんだからもー。」
人の話なんざ聞いちゃいねえカイは、何時の間に岩のダメージから復活したのやら、怒るジェンドの後ろから羽交い絞めにしたかと思うと声を出せないように口を隠し持った布で縛ってしまった。
「ふがぅっうーっあぅふー!!」
何やら怒っているらしいジェンドに、にこやかに話し掛けるカイ。
「んージェンドはやっぱり縛られてるのが似合うねー。もっと縛ってあげるから暴れてもいいよー。」
言われるまでもなく大暴れのジェンドであったが、なぜかこんな時だけは、「ぱんち」も「きっく」も当たらない。じたばたと動く間に、手足も縛られ動けなくされてしまった。

すっかり抵抗できなくなったジェンドを床に転がして満足そうに眺めるカイ。
「綺麗だよ、ジェンド。」
「ぬぅーっ!」
「まったく、こうしないといつまでたっても素直にならないんだから。」
「ふぬぅっ」
「もうちょっと我慢してねー、そしたらジェンドの好きなこといーっぱいしてあげるから。」
「むーむーっ!」
「その前に、よい子の十六夜はそろそろ寝ようね、はいオヤスミー」
「ほえ?」
先程から二人の攻防をなんとなく眺めていた十六夜は、結局『胸だけでイっちゃうアレ』って何だったんだろう?と思いながら一人ベッドに入ると、よい子らしく3秒で寝入ってしまった。
「さあジェンド。十六夜も寝たことだし、今夜も遠慮なく泣いてくれたまえ。俺も遠慮せずにやらせてもらうから♪」
「………うぅー!(結局今夜も寝れないのか!昼夜逆転して十六夜の顔が見れないし!ってかコイツつい最近まで私のことを男だと思っていたくせに、なんて変わり身の早さなんだ!
それとも男だと思ってたときから狙ってたのか!?だとしたら十六夜にも目をつけてないとも限らん!
このクソ変態め!十六夜に手を出したら承知せんぞ!あいつは私のもんだ!)……」

こうして今日もディアボロスなんて忘れちゃった♪3人組の1日は終る…。