ぐぃ〜〜〜〜っ

む・・・痛っ!!
オレ様の耳を引っ張ってるのは誰だ!

飛び起きようとするが、首から腰にかけてが重い。
それは固いわけでもなく、冷たいわけでもなく、寧ろ触れているのが心地良いと感じるようなモノだ。

ぐぃ〜〜〜〜〜〜っ

「やめろぉぉ!」
再び、俺の耳が引っ張られているが、今度は力任せに飛び起きる。

「やっと起きた?」

ボヤケタ視界に飛び込んできたのは、見慣れた俺様のベッドと、
俺の目の前を浮遊する羽ムシ…じゃない、これはレムか。

「…嗚呼」

つまり、ココは俺様のプライベートルームか。
とすると…この首にかかってるのは…イリアの腕だろうか。
しばし記憶を整理してから羽根布団を捲ると、俺に抱きついたまま寝息を経てているイリアの顔が見える。

「ムニャムニャ……そんなにいっぱい食べられらいよ〜…」
…相変わらずベタな寝言だ…ってぇぇ、俺もイリアもほとんど裸同然のかっこ……?

えーと、状況を整理しよう。
確か昨日、城の書庫に用事があって、イリアと一緒に城(とかいて実家と読む)に帰ってきた。
そして、夕方だったのもあるが、親父の口車に乗って、自室で一泊していくのを決意。

で、その後は確か、イリアと話ながら書物読んでいたときに、おばばが飲み物を持ってきてくれて…………



……これはヤバイゾ、絶対。
その後から今までの記憶が完璧にない。

「ついに、ヤっちゃったわね♪」

「………見てたノカ?」

「うん(はーと)」

「ぁぁぁぁああああ!?」
激しい後悔の念が、俺の頭を貫く。
まさか、イリアが嫌がるのを無理やりとかしていたら…。

「お酒くさかったケド、まさか覚えてないの?」
「嗚呼、そうだよ…全然覚えてナイ…」

ぎゅっ

首にかかった腕が締まる。

アワワワワ、イリアが、お、起きる。ど、どんな顔して俺は…。

「よ、よう、イリア」
「ふにゃ〜?………ちぅ」

なっ…いきなりキスね、寝ボケてるのかっ!?こ、こらそのまま全体重を俺様にかけるな!!

「シオン、後ろ!」
「へ?」

ごすっ

後頭部にニブイ痛みと、視界に飛び散る火花……嗚呼、そうか天井付きのベッドの支柱に。
そこで、俺の意識は再び眠りの世界へ。

「…むぅ〜〜アレ?」
「……シオン、また寝ちゃったわね」
「レムぅ…なんかボク、アタマ痛い……」
「あらあら、二日酔い?」


―うららかな、アドビスの朝の出来事―